新たな価値観を生み出す
「ニュースタンダード」
1933年の誕生から一度も生産を止めることなく、90年以上も作り続けられてきたアルテックのスツール60。
誕生から変わらぬ構造と素材による「普遍性」と「耐久性」は、広く知られているスツール60の大きな魅力です。
一方でスツール60は、変わりゆく時代背景とともに微細な変遷を遂げてきました。
物資が不足した時代に一時的に用いられたL-レッグではない脚部など、そこにはその時代背景が投影されています。
90年の変遷を経て発表された「ワイルドバーチ」は、市場のニーズに基づいた従来の概念を見直すべく誕生しました。
「自然そのままの白樺」を選定基準とし、自然の個性と魅力にあふれる木材を使用。
節や昆虫の跡、色の濃淡など、バーチ材に表出する自然由来の特徴を、隠すことなく製品の外見に使用する。
外観的な均一性ではなく、自然そのままの特徴を「美しさ」として捉え、新たな価値観を提案しています。
自然の特徴そのものが特別で美しい
これまでのアルテック製品では、木材選定の過程において、自然素材ならではの特徴が色濃く現れた木材はカラー塗装を行う部分などに使用することとし、これらを表面に使うことを制限してきました。
これは主に外観的な美しさを統一する目的であり、選定で省かれる木材もまた、品質や構造上は何も問題がありません。
アルテックは「ワイルドバーチ」を通して、自然素材ならではの不揃いな個性を称賛し、唯一無二の証として認めること、
そして木材選定基準の幅を広げ、これまで以上に無駄なく大切に使うことを提唱しています。
これはサステナビリティに対する新たな価値の提案です。
この新たな木材選定基準はやがてアルテックのさまざまな家具に応用され、「フォレストシリーズ」として展開を広げています。
変化するフィンランドの森
アルテックは1935年の創業時より、自国フィンランドに貢献したいという思いから、フィンランドの豊かな自然素材である白樺を使用してきました。
固いバーチ材を曲げるため開発された「L-レッグ」技術は今も、唯一無二の特徴として多くのアルテック製品に活かされています。
「ワイルドバーチ」は、アルテックと、イタリアを拠点に活動するデザインスタジオ「フォルマファンタズマ」の協働により開発されました。
両者は2022年より、アルテック製品とフィンランドの森の現状の調査を開始。
世界的な気候変動と工業化により、フィンランドの森はここ数十年で大きく変化しました。
国の計画的な伐採方針により森林資源は増大しています。
しかし工業化により森は徐々に若返り、生物の多様性は失われつつあり、温暖化に伴って木に巣食う昆虫の発生リスクが増大しています。
この調査から導き出したのが、新たな木材選定基準「ワイルドバーチ」です。
ワイルドバーチ - 自然そのままの白樺
下記はワイルドバーチに見られる特徴の一例です。
《濃色》
木が樹齢を重ねると、幹の芯は徐々に他の部分に比べて色濃くなっていきます。
スツール60ワイルドバーチの脚部には、芯の近くにある濃色の木材、成長過程や伐採、乾燥時の気象条件によって色味が異なる木材が使用されます。
《枝の節》
節は、木の枝がかつてあった場所に現れる模様です。
木が成長するにつれて、下の方の枝は自然と枯れたり折れたりし、その根もとが新たな木の層に巻き込まれ覆われることで、節となって現れます。
《昆虫による跡》
フィンランドの冷涼な気候は、昆虫の被害をこれまでは抑制してきましたが、世界的な温暖化の影響で、木に穴を掘る昆虫の被害を受けやすくなってきています。
昆虫があけた穴は、木の成長に伴って新たな組織に覆われ、暗く色付いた痕跡を残します。
「ナチュラルバーチ」と「ワイルドバーチ」
これまでの定番「ナチュラルバーチ」に対し、ニュースタンダートとなるワイルドバーチ。
異なるのは外観上の選定基準のみで、形や品質に違いはありません。
選定基準が異なるといっても、「ナチュラルバーチ」に節や昆虫の痕跡などが無いわけではありません。
程度の大きくないものや、通常使用時には見えなくなる箇所、目立たない箇所などにも、そういった特徴のある木材が使用されることもございます。
いずれも木目や色合いは製品ひとつひとつ異なります。
画像にない木目や特徴が見られることもございます。
そのどれもが、一つしかない個性です。
同じものが存在しないそれぞれの個性を、かけがえのない出会いとしてご愛用ください。
いつも、どこでも、何脚でも
シンプルで無駄がなく、丈夫で美しいデザインはもちろん、その使い勝手からも世界中で愛されているスツール60。
広めの座面はフラットで物を置きやすく、軽量なのでどこでも軽々持ち出しやすい。
そんな特徴から、座るのはもちろん、飾り台として、サイドテーブルとして、多用途に活躍してくれます。
使用しない時はスタッキングすれば省スペースになる上、むしろ重ねておきたくなるほど、スタッキングしたさまも絵になるアイテム。
何脚か揃えて重ねておけば、来客時もスマートですね。
北欧デザインの巨匠、アルヴァ・アアルトと「L-レッグ」
1933年にデザインされたスツール60。アルヴァ・アアルトが家具職人オット・コルホネンと共同で開発した「L-レッグ」を用いて製作された最初の家具です。
L-レッグとは、無垢材にスリットをミリ単位で入れ、そこにベニヤ板を挟んでプレス加工する曲木の技術、およびその加工された脚部のこと。
L字を描きながら強度も増すこの革新的な技術を使って曲げられた木材は、最後に人の手により隙間を木屑で埋め、磨きをかけて完成します。
アアルトが「すべての人の暮らしに良いデザインを」という思いのもと開発したL-レッグ技術は、1933年に特許を取得。さまざまな家具に応用され、アルテックの家具デザインの基礎を築きました。
■アルヴァ・アアルト(1898-1976)
最も影響力を持った20世紀の建築家、デザイナーの1人。
生涯200を超える建物を設計し、有機的なフォルム、素材、そして光の組み合わせが世界で称され、名作として語り継がれています。
建築は家具と補完し合うものと考えていたアアルトは、自身が設計した建築に合わせておのずと家具のデザインも手掛けることになります。
1931 - 32 年、パイミオのサナトリウムのために開発した最初の家具デザインは世界的な注目を集めます。
1935年、アルヴァ・アアルトと妻のアイノ・アアルトがデザインする家具、照明器具、テキスタイルの世界的な販売、そしてモダニズム文化の促進を目的に、アアルト夫妻、アートコレクターのマイレ・グリクセン、美術史家のニルス=グスタフ・ハールの4人の若者によりアルテックが設立されました。
アルテックとは「アート」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語。1920年代のモダニズムが目指した「アートとテクノロジーの融合」に共感し、そのキーワードが社名に込められています。
組み立てについて
座面裏に脚を付属のネジで取り付ける「お客様組み立て式」となります。
ご自身で組み立てされる場合はキャリーアウェイボックスに入った状態でお届けします。
ネジは1ヶ所ごとに締め切らず順繰りに少しずつ締め、組み立ての最後にしっかり締めるようにしてください。
またネジ穴が削れるのを避けるため、画像のように垂直に力を加えてください。
プラスドライバーで組立可能ですが、固い場合もあるため、電動ドライバーをご使用いただくとスムーズです。
組み立てを難しく感じるお客様は当店にて組み立てし発送させていただきます。
ご希望の場合のみ、組み立て済のスツールと同梱でボックスをお送り致します。組み立て選択画面にてお手続き下さい。
フェルトをプレゼント
キナルではフェルトをプレゼントしております。お好みで傷防止にお使いください。
ご購入前にご確認ください
a:極小さな穴、b:ネジ穴のささくれ、c:ホワイトラミネートには極小さな黒点などが見受けられる場合がございます。
d-e:L-レッグに製造過程で生じるシワや溝などが見られる場合がございます。
f:使用時見えなくなる箇所にある場合は、少し程度の大きい傷や欠けについても良品の範囲内となります。
その他画像にない木目や細かな傷・凹み、擦れや汚れなどが見受けられる場合もございます。
限りある資源を大切に使用するため、個体の指定はお受けできませんので予めご了承ください。
当店はアルテックジャパンのオフィシャルパートナーショップです。原則としてメーカー規定の品質基準をクリアしたものをお届けしておりますが、商品到着後、明らかな破損や不具合などございましたら責任を持って対応させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。